【桜メール 平成26年7月号】
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◆宮司のことば 「美味しいスープ」
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味覚には、塩味、酸味、甘味、苦味、旨味がある。
塩味が少し強いだけで、食べているうちに
塩辛く感じるようになり食べるのが辛くなる。
逆に、塩味が弱いと旨味自体を感じにくくなる。
心地よい酸味は、味を引き締めてくれる。
しかし、酸味が強すぎると、全ての味に勝ってしまい
他の味が感じにくくなる。
適度な甘味は、旨みを引き立ててくれる。
しかし、甘味が強すぎると、くどくなり途中で飽きてしまう。
適度な苦味はアクセントとなって全体に深みと複雑性を増してくれる。
しかし、強い苦味は、全てを台無しにしてしまう。
旨味が足りないと、どんな味付けを施しても
物足りないものになってしまう。
それにもう一つ。
香りの要素も見逃せない。
良い香りは食欲を増し、同時に、食事を心地よいものにしてくれる。
しかし、不快な臭いが少しでもあるとどんなに美味しいものも
食べられないものになってしまう。
これらの味のどれか一つが突出していても
スープは台無しになってしまう。
また、全てが突出していても
それぞれがぶつかり合って
バラバラの味のスープになってしまう。
ひとつひとつのバランスが取れたとき
互いに影響しあって、全体を高める。
人の「和」が、
実力以上の力を引き出すように――。
互いに、与え、与えられて、調和が生まれる。
美味しいスープは、人の社会と似ている。
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